2005年08月22日(月)
映画・竜馬暗殺 
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と言っても映画の話である。
この映画は私にとってかなりの衝撃でした。映画で実在の人物をどのように表現するのかを理解させてくれ、リアリズムを教えてくれました。
残念なのだが劇場では見ていない、ビデオでなのだ。機会があれば是非とも劇場で再度見たいと思っている。映画自体は30年以上前で、製作は私の永遠のバイブル“ATG”である。
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この映画で原田芳雄が演じた坂本竜馬を見れば、その後いやそれ以前も含め竜馬役の役者は噴飯ものでしかない。それは、ジェームス・ディーン以降の不良青年の演出・演技が、すべて彼の模倣であるというのに似ている。ディーンは屈折した青年というテーマのエッセンスを出演した3作の映画で全て確立したのだ。原田芳雄の坂本竜馬も私は同じような評価を与えられる。
この映画はくだらない竜馬伝記映画とは確実に一線を画す。史実をてんこ盛りしたものとは違い、暗殺までの3日間に時系列を集約し、あえて竜馬の偉業などを説明しない。暗殺に怯える等身大の人間竜馬を見事に描ききっている。そして原田芳雄が竜馬を演じているという醒めた観察眼が一切出てこず、最後まで本物の竜馬ドキュメンタリーを覗き見しているような感覚にさせてくれる。
そしてモノクロというストイックな画面が実にリアルな緊張感を生み出し、匂いや埃っぽい乾いた空気を、胸が苦しくなるくらい観る者に対して攻撃的に仕掛けてくる。
映画は1974年(昭和49年)の製作で、時代背景を考えると学生運動との関係も濃密に読み取れる。しかし映画の視点は、薩長連合等の回天偉業をドラマティックに演出したものではなく、大きな組織の思惑と陰謀の狭間で身動きが取れなくなり、閉塞感と猜疑心からくる恐怖、そして先行きに対するモチベーションを懸命に維持する青年像を描き出している。決してそれまでのカッコのいい竜馬像からするとかなり情けない人物像が浮き彫りにされている。しかし史実をてんこ盛した伝記映画よりも緻密に竜馬研究がなされ、おそらく何度も何度も脚本を検討したのではないだろうか。実際、今では当たり前の説である薩摩暗殺説をこの時点でかなりリアルに描いているし、その伏線として京都の商人に時代の権力の在処と商売の拡大を語らせ、密告の暗部を示唆させている。なによりも竜馬の存在は、一般には司馬遼太郎の小説に代表されるような痛快な人物像が主流であるが、実際よくよく考えると、大藩によって身分証明されているわけでもなく、時代を動かす組織から見るとかなり胡散臭い人物であったはずであるし、見ようによると、現在日本と北朝鮮の拉致問題の駆け引きで、先般話題になった外務省ルートの“ミスターX”のような人物像とも捉えられかねない。
そういう人間の立場を考えると、ある意味この映画が示す竜馬像はかなり史実に近いのではないだろうか。しかし映画の主旨はそんなものではない、この映画にとってはあくまで映像構成上の要素の話でしかない。。
再々申し上げるが、只の史実てんこ盛り型の映画であるなら、テレビでやってもらいたい。
歴史勉強の一環と道徳啓蒙を含め。
映画竜馬暗殺、未来から過去を見たのではなく、先行きの不透明感の中でもがく現在を映像化した実にすばらしい映画であり、30年以上たった今でも現在を表現している。

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