2007年12月06日(木)

fire 山中伸弥教授 fire

 山中伸弥教授 20年前

私はある方の薫陶を受けた。当時はそんなありがたいこととは感じず普通に接していたが、振り返ればその方と話、諭されたものが今になって色々な意味で大きな意味を持ち出したことを実感している。

その方は読売新聞の記者をされていたのだが、定年を契機にさる公的な機関の広報の仕事に就かれた。私が出会ったのはその頃のことである。クリスチャンだったその方、O氏は、必ず私達若者の考えを全て聞き、その後自分の考え方をゆったりと話して聞かせてくれた。生意気だった当時、感心することも多かったが大半反発していたような記憶がある。私とO氏の基本的な繋がりの経緯はアルバイトとその窓口担当者という関係だったのであるが、お互い酒が好きなこともあり、
しょっちゅう飲みに連れて行ってもらい、色々な話をしたのである。それは今このブログに様々なことを書いているが、まったく同じような感じであり、歴史、政治、経済、世相…このとき話した内容は今の私の大きな基礎になっている。それは知識という意味ではなく、物事の考え方と言う点において大きな重みとなっているのである。

O氏とある話において衝突した時があった。話のキッカケや内容は今思い出せないが、衝突したポイントだけは鮮明に覚えている。学者みたいなものは大半が無駄飯食いだ!という私の意見に対して言い争ったのである。いや、正確に言うと争うということではなく、懇切丁寧に私の稚拙な論理展開を揉み解すような感じだった。。。

当時、私の大学生活は崩壊していた。また後日そのあたりは書こうかと思うが、とにかく学校を初めとする教育機関や先生と呼ばれる人間に対するアレルギーは頂点に達していた。だからこの時分、私は約2年間近く大学には行っていたが、ほとんど講義には出席せず、気が向いた講義のみ講演会を聞きに行くがごとく出席していた。加えて、いわゆる一般の大学にはどこにでも存在する“ゼミ”というものにも参加していなかった。一回生で留年確定。当たり前である・・
では、なんのために大学に毎日行っていたかというと、簡単に言えば、リストラされたサラリーマンが家族にその事実を伝えられずに毎日公園に出かけているのと同じ状況だったということだ。そしてもう一つの理由は講義の終わった友達と遊ぶための待ち合わせ場所となっていたのである。

そしてその時分はまさしくバブル景気の真っ只中、適当に将来を考えても世の中に札束が舞っているような状況、どこにいても何とかやっていけるというような、今から思うとまさに狂乱の時代であり、その只中にいる我々若者は、これが時代や、これからの時代の価値観はこうや!というなんの根拠もない生活観を茫漠とイメージしていた。猫も杓子も金の時代であり、社会全体も金があふれ返り、“金あまり現象”なる言葉がマスコミを賑わしていた。国はもちろん企業も普通の設備投資や投機だけでは金が遣いきれず、とてつもない刹那的な感覚で金を湯水のように散財していた。こんな日常を毎日眺めていた社会に出る前の若者には、到底この状況が異常であるなどという相対感は持ち合わせておらず、またこの猛スピードで失踪するブレーキの壊れた車の状態を辛辣に指摘する大人も周りには皆無に近かったのである。

その時分に地味にコツコツ研究する学者なる存在を、私は全てではないが大半無用の長物のように捕らえていた。こんなくだらない研究がなんの役にたつのか?社会の利益を無為に貪っているだけではないか?そんな輩のいる大学に物を教わるなんかオカシイのではないか?世の中には毎日、壮大なスケールで成功したもののエピソードが満載であり、そういった人たちから聞く話こそが、今の時代の感性に合致し活かせるものだ、などという事が漠然と支配していた。大体、見たこともないような魚の生態を日がな一日研究してなんになるのか?世の中の役に立つのか?
比較経済論?共産・社会主義経済?そんなもんがなんか役に立つのか?…・
あまりにも現実的な社会の流動性の激しさから、根本的なものを皆が見失い、金がすべてを解決する、金こそが幸せを生み出す原資であり、コツコツなどというようなことは実にナンセンスであり、そんなことを信奉すると、時代の流れに乗り損ねた落伍者というレッテルを顔に思いっきり貼り付けられ酷評された。私には時代に背を向け、コツコツわけのわからない研究に埋没する学者などの大半はその際たるものに見えたのと、末は博士か大臣かという名誉しかない空虚な存在にしか映らなかった。。

このポイントが衝突したのである。

O氏は頑として言い放った。“違う”“大きく間違っている”

今だとこの当時の事を全て肯定する人間はいないし、論評もいろいろできる、またその因果関係や状況を克明に語ることはできるだろう。それは偏に結果論だからだ。
しかし渦中において、ましてや人生経験の浅い若者からするとなかなか理解?というよりも先行きにたいしての想像までを働かすだけの引き出しは持ち合わせていないのが現実であり、今、眼前に広がっているものこそ現実、真実に映ってしまうのである。

O氏は私の考えを拝金主義という言葉と即物的な感性という言葉で説明してくれた。しかし私も負けてはいなかった。自らの眼前に広がる現実を背景に、私の考えが現実的には社会を支配し、その考えで経済が豊かになり、少なからずO氏も私も豊かとまでは言わないまでも社会の恩恵に浴しているのは間違いの無い事実であるという点を論拠として対抗したのであった。

しかしO氏は譲らなかった。頑としてこの時分から今の時代は間違っていると言明していた。地に足がついていない。皆がフワフワと浮揚している。人間が長年培って築き上げた叡智、そしてこれから先につなげるべき人間の大事な物事は、現在の状況と同じ流れの中、次元には存在していない。すべてを一緒くたにして論じる論法は大きな間違いであると結論付けられた。

今から思うと見解の相違などというのとは違い、別の話を別々にしていたような感じである。
しかし、分からなかった。全てコツコツとした辛気臭いものは、時代に逆行する悪因でしかなく、そんなものにロマンも夢もこれっぽっちも感じられなかったのである。やはりゴッホの絵を何十億で日本人が余裕で買い、ロックフェラーセンターというアメリカの象徴を買い取るというような事が、わが国の国威であり、世界に確固たる地位を築いている根拠だと信じていた。凄いというより当たり前の感覚であり、その他の国をある意味金で蹂躙しつくしていたのであった。。

このとき以来この話題が二人の会話に上がることは無かった。そして私は一年留年後になんとか
適当に大学を卒業し、今の会社に就職をした。その数年後…・・

バブル経済は完全に崩壊し、未曾有の大混乱が生れた。。

その時、戦後教育とまでは行かないまでも、かなりの価値観の変革が社会を席捲し、一夜にしてバブルヒーローが次々と凋落していった。そして分かった事は、なぜそんなバカな事をしていたのか?という冷静に考えれば判断つくものを、夢遊病者のように国民皆が判断能力を失い突き進んでいたのであった。。。。。。

それから今日まで来た。経済指標は好況を示しているが、もう富は全体に循環しないような体系に変貌した。そしてここ最近も年間3万人の自殺者が続く厳然とした格差社会。我々は一体何を学んだのであろう?何をもって幸せとするのであろう。何が幸せで、何が一番尊いのであろう?
今、ようやく人間本来の持つべきものというテーマが世間の中心で語り始められている。しかし、追いついているのだろうか?日本の抱える問題、年金問題にしてもばば抜きのような状態、厚生労働省の公僕でありながら国民と対決するような姿勢、企業の倫理観の欠如。枚挙に暇が無い。日本だけの問題ではない大きな問題も眼前に迫っている。地球温暖化、原因不明の病気、治療方法がみつからない病気、人口激増の食料不足。皆が場当たり的な解決ではなく、根本的な解決や“救い”を今切に臨んでいる。金ではどうしようもない事柄、金に執着すると前に進まないどころか、後退する局面に差し掛かっている。これを具体的に救う指針は学者の研究に縋らなければどうしようもない。人間の肉体、人間存在そのものが脅威に晒されている。今日明日ではないにしても、少なからず孫の子の代には看過できない状態であることは今日のこの時点でも判明している。

私は、ここに来て初めて、O氏が語ったことを改めて感ずることが出来たのである。
根本的な問題の究明と解決策、これの研究は学者でしかできない。代替燃料もそう!食料自給率アップもそう!医療に関しても同じ、すべてがかけ離れたところからでも人間生活に役立つために人生をかけて研究に没入しているのだと…それは世間がどうであろうがコツコツとしか出来ないことであり、社会のバックアップなくしては決して前へは進まない。

あのバブルのとき湯水のように使った金を、あの当時から進行している様々な研究開発にぶち込んでおけば!と今、思わないだろうか???これはなにも研究開発だけではないだろう、なにせ、何故そんなあほなことに…というような事がすべてを覆っていた時代であったから。しかし、様々な研究開発と現実のスピードがサイドバイサイドというような好環境でないことは仕方がないが、見る限り、ブッちぎりに近いもの、そう、大きく遅れているものが存在する。そこに我々はもっともっと急ぎ舵を切らなければならないのではないかと?感じたのである…自分達だけがよければいいと言うような感性がまだまだこの国には大きく存在し、公徳心の低下の歯止めがかからない状況なのじゃないかと危惧するのである。

今日なぜこんな事を書いたか?こんな事は少なからず私と同世代であればだれでもが感じ書ける事柄だと思う。違いはせぜい文言の選択くらいであり、論旨はほぼ同じ物に仕上がるだろう。
しかし、今日どうしても書きたくなった?いや書かなければと思う出来事に衝突したのだ。。。


それは、このニュースだ・・


ヒトの皮膚から万能細胞 京大チーム成功
11月21日5時46分配信

ヒトの皮膚細胞から、あらゆる細胞に分化できる「万能細胞」を作ることに、京都大再生医科学研究所の山中伸弥教授らが初めて成功した。ヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)とほぼ同等の能力があり、受精卵を使わないため倫理的な問題も回避できる。患者の皮膚から移植用の臓器を作れる可能性があり、拒絶反応のない新たな再生医療の実現に道を開く画期的な成果だ。20日の米科学誌「セル」(電子版)に発表した。

ES細胞は神経や筋肉、臓器などあらゆる細胞や組織に分化させることができ、再生医療への応用が注目されてきた。しかし、生命の萌芽(ほうが)である受精卵や卵子を壊して作るため、倫理的な問題が実用化研究に立ちはだかる厚い壁だった。

受精卵などの生殖細胞ではなく、皮膚などの体細胞からES細胞と同じ性質を持つ万能細胞を作る研究で先陣を切ったのが、山中教授らの京大チーム。昨年、マウスの皮膚細胞に、万能性に関係する4つの遺伝子を導入して万能細胞の作成に成功。ヒトの細胞での実現に向けて、激しい国際競争が展開された。

山中教授らは、マウスで成功した技術を応用して成人の皮膚細胞に同じ4つの遺伝子を導入し、ヒトの万能細胞を作ることに成功。「人工多能性幹細胞」(iPS細胞)と改めて命名した。タンパク質を作る主要な遺伝子が、ヒトES細胞とほぼ一致し、肝臓や心筋、神経、筋肉など約10種類の細胞に分化できることを確認した。

米ウィスコンシン大などの研究チームも20日の米科学誌「サイエンス」(電子版)に、胎児などの皮膚から作った類似の万能細胞を発表した。

今回の成果は、脊髄(せきずい)損傷や糖尿病、心臓病など多くの病気で再生医療への応用が期待される。患者と同じ遺伝子を持つ臓器細胞を作れるため、薬の効き目や副作用の診断などにも役立つ。

山中教授は「再生医療というマラソンのゴールが見えてきた。10年以内に実現できるだろう。今後は研究体制の充実と適切なルールづくりが必要だ」と話している。

                   ◇

中内啓光・東大医科学研究所教授(幹細胞生物学)の話 「(体細胞クローン羊の)ドリーに匹敵する非常にすばらしい世界的な研究業績だ。ES細胞の倫理的、技術的な問題をクリアでき、理想的な再生医療の実現につながる。腫瘍(しゅよう)の可能性など安全性が課題だが、実用化までに10年もかからないだろう。今後は何らかの研究指針が必要かもしれないが、ES細胞のような厳しいルールはいらないと思う」


このニュースの内容、分かるだろうか?何かの発表、それも専門家の発表を丸写ししただけのような内容であり、一般に噛み砕いて偉業を説明しきれているとは言いがたい。いや、まったく出来ていない!

このニュースの肝はおそらく以下の点になるのだろ・・が、実は大きくこのニュースには欠落した報道機関としてこれまで仕事が出来ていない部分がある。ここに私は今回このブログ書いた最重要点があるのである。

ます、このニュースの要旨からだが


① ヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)とほぼ同等の能力があり、受精卵を使わないため倫理的な問題も回避できる。

② タンパク質を作る主要な遺伝子が、ヒトES細胞とほぼ一致し、肝臓や心筋、神経、筋肉など約10種類の細胞に分化できることを確認した。

③ 脊髄(せきずい)損傷や糖尿病、心臓病など多くの病気で再生医療への応用が期待される。患者と同じ遺伝子を持つ臓器細胞を作れるため、薬の効き目や副作用の診断などにも役立つ。

④ 腫瘍(しゅよう)の可能性など安全性が課題だが、実用化までに10年もかからないだろう。



以上の4点に絞られると思うが、それでも分かるだろうか?



まず最初のヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)とほぼ同等の能力があり、受精卵を使わないため倫理的な問題も回避できる。これでつまずかないか?

なんのことか一般には分からない。ニュースだから事実を正確に伝えるということは当然なのだが、ではなぜ分からないかというと、国民的な関心事として常にこのニュースが取り上げられるもしくは追いかけられるということが無いからだと私は思う。


このニュース、実はもっと国民が感心高く、家の前に国旗を掲揚や提灯行列せぇとまでは言わないまでも、世界に先駆けてのわが国の偉業として国民の誇りになりうる出来事だと私は思うのである。もちろんこれも私が常々言っているが、内容を分かりやすく、いかに凄いことであるかを小学校の低学年から、授業中に先生がちゃんと教えるべきような出来事であり、只のニュースで終わらせてはいけないことなのだと思うのである。


これは医療の革命的出来事であり、そんじょそこらのニュースとはわけが違う筈である。
この山中教授が考えておられることが実現すれば、一体何人の様々な病気で苦しんでいる人が救われるか?とてつもない偉業になるのは間違いない事実であり、そのことをもっと国民の中心として報道すべきではないか?と怒りを覚えるのである。
日本のマスメディアは節穴か?厚生労働省の問題とその被害者ばかりビジュアルでクローズアップしているが、本質的な問題がちゃんと定義できているのか?と大いなる疑問もこのニュースからは読み解けるのである!!!


この研究の競争の凄まじさすら報道しきれていない。細切れのような内容で伝え、これでは、この過酷な競争を戦っている山中教授のチームも浮かばれない…

この研究競争の激しさは、まず韓国で起こった出来事を思い出していただければ一目瞭然だと思う。

黄禹錫(ファン・ウソク、1952年12月15日 - )は韓国の生物学者。世界レベルのクローン研究者とされ、ヒトの胚性幹細胞(ES細胞)の研究を世界に先駆け成功させたと報じられた。韓国人で自然科学部門では初のノーベル賞を期待され、韓国政府や韓国国民の期待を一身に集め「韓国の誇り」(pride of Korea)と称されたこともあった。

2005年末に発覚した、ヒト胚性幹細胞捏造事件(ES細胞論文の捏造・研究費等横領・卵子提供における倫理問題)により学者としての信用は地に落ちた。正攻法でES細胞を作り出そうとしていた民間企業では、「体細胞からES細胞を作成した」との発表で研究の打ち切りを余儀なくされた例もあり、ES細胞や再生医療分野の研究は彼の捏造研究が与えたダメージによって停滞を余儀なくされ、事件により、『クローニングによってES細胞の製造ができる』という前提のもとに行われていた研究はすべて灰燼に帰したも同然となり、2007年11月日本の京都大学山中伸弥教授の研究発表までES細胞に関する研究は一時遅滞を余儀なくされた。しかし、日米の独立したグループがほぼ同時期にヒトの皮膚から万能細胞の生成に成功したことにより光明が見えてきた。。。。。。

このファン・ウソクという人物は日本ではあまりなじみがないが、この2年前のニュースを見た人は多かったのではないだろうか?彼が2005年までに自国内で受けた栄誉を考えれば山中教授の現在の存在がいかに国内で過小評価?これはあくまで専門の業界と言う意味ではなく、我々一般国民の間においてでのことだが理解できると思う。


それほどこの研究は革命的であり、尚且つ世界各国の競争が熾烈を極めているのである。そんなことをわが国の一般国民は知っているのだろうか?そしてその激しい競争を京都大学という国立大学ではあるが、本質的には国の機関としてではなく、独立したグループによって勝ち抜いた事を???

ここに私が20歳の時にO氏に食ってかかった稚拙な論理が匂わないだろうか?・・


そして、この山中教授のニュースから約2週間後以下のニュースがこっそり?(としか私には思えない・・)が流れた。。


万能細胞研究 国が支援強化 07年度中に数億円規模 協力態勢構築へ
(2007年12月4日掲載)

政府は3日、人の皮膚から万能細胞の一種「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を作製した京都大再生医科学研究所の山中伸弥教授らの研究を支援するため、国内の再生医療研究者が協力し合う“オール日本”態勢の構築に向けた検討を始めた。

文部科学省所管の独立行政法人「科学技術振興機構」は同日、既に研究費を支給している同教授の研究態勢強化のため、2007年度中に追加で資金支援を行うことを決めた。緊急性があると判断したためで、関係者によると、数億円規模になる見通し。

iPS細胞研究をめぐっては渡海紀三朗文科相が支援に乗り出す考えを表明したほか、総合科学技術会議も作業部会の設置を決めており、国際競争に備えた国の態勢づくりが加速してきた。

科技機構は既に、山中教授の研究に04-08年度の5年間に計2億6400万円を計上しているが、今回のiPS細胞づくりの成功を再生医療につながる世界的成果と評価。来年度予算を待たずに追加支援する必要があると判断した。

追加分は、スタッフ増員や研究スペースの確保、特許など知的財産関連の経費に充てる方針。

一方、3日の銭谷真美・文科省事務次官の定例会見によると、山中教授は11月30日に同省の担当者と面会した際、今後の研究はオール日本態勢で進めるべきだとの考えを伝えた。

また、研究者が1カ所に集まって研究できる施設を求めたほか、将来予想される倫理面の問題に対応するため、研究のルールづくりや透明性を確保する必要性も訴えたという。

胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を使う研究の審査などを行う文科省の専門委員会は今月7日の会合に山中教授を招き、成果の中身や、生じ得る倫理問題について意見を聴く。その上で将来、iPS細胞の研究に一定の規制が必要になるかどうかについても議論する。

●国際競争激化に危機感

皮膚からいわゆる万能細胞(iPS細胞)を生み出した京都大の山中伸弥教授の技術は、同教授が動物実験で初めて確かめ、人の皮膚でも成功させた「日本発」の技術。

しかし材料が入手しやすく再生医療を飛躍的に発展させる可能性が強いだけに、実用化に向けた世界的競争は激しい。実際、人の細胞での成功は米国と同着だった。

日本が競争に負け、実用に役立つ技術の重要部分の特許を外国企業などが押さえてしまうと、iPS細胞を使った将来の治療に日本の患者が高額の特許料を払わされる可能性もある。山中教授らが恐れているのは、そうした事態だ。

患者の皮膚からつくることができるiPS細胞の活用法として期待されているのは(1)拒絶反応のない臓器づくり(2)薬剤が患者に効くかどうかの試験(3)患者が病気になるメカニズムの解明-など幅広い。

しかし臨床応用には課題も多い。例えば、皮膚に遺伝子を組み込むのに教授は、発がんの危険性が否定できないウイルスを使っているが、安全面からは別の手法の開発が必要だ。実際に患者に使う前には、サルなど人に近い動物で安全確認試験をすることも求められる。

こうした研究に米国など海外では多くのチームが既に着手しているとみられ、日本で山中教授だけが抱え込むのは効率的ではない。山中教授は「アメリカ対山中研究室では勝ち目がない」と再三、強調している。

「国内にいるさまざまな分野のトップレベルの研究者が協力し合う“オール日本”の態勢が必要だ」と力説する山中教授。研究者らが1カ所に集まり、スムーズに協力できる「国立幹細胞研究所(仮称)」のような新研究施設の設立が理想的だという。


以上の内容だが、


これだと、国がこの偉業に迅速に対応したかのごとき報道だが、これはまったく事実に反するし、
よくまぁこれだけ本質的な国のこういった研究に対する欠陥部分を掘り下げていないなぁ?とつくづく感心し呆れてしまう…

この報道の中では僅か二行だけその部分に触れている・・

◎ 日本で山中教授だけが抱え込むのは効率的ではない。山中教授は「アメリカ対山中研究室では勝ち目がない」と再三、強調している。


これだけである…


あまりにもマスメディアは、この偉業とそれに対してのこれまでの艱難辛苦を無視しすぎではないか?と思うのである。報道の本質は事実を伝えること。そして我々一般人は事実を知る権利がある。この相互の関係によってマスメディアというのは成り立っているはづなのだが、このニュースに関しては欠陥もいいところだ。これでは我々一般国民がまったくこの偉業とそれに対する国の冷たい仕打ちが理解できないではないか??

この国の対応、一体何様のつもりなのか?成果がでたから、じゃ対応しようか?って言うのでは勝てないと山中教授が切実に訴えてきたのにも関わらずこの体たらくは如何にしたものか?そして記事中にある、

日本が競争に負け、実用に役立つ技術の重要部分の特許を外国企業などが押さえてしまうと、iPS細胞を使った将来の治療に日本の患者が高額の特許料を払わされる可能性もある。山中教授らが恐れているのは、そうした事態だ。

と言う内容!こんなことまで研究の最前線で戦う学者に抱え込ませ、プレッシャーを感じさせていいのか?こんなことは本来国家戦略じゃないのか?それを他人事のように眺め、洞ヶ峠がごとく結果がでてからさも、緊急事態に即時対応したようなこの記事!品性のかけらもない!!
これで世界とどうやって向き合っていく、そう、戦っていくのか?

まったく恥を知れと言いたい!

山中教授は切にチームジャパンを希望していた。これは事実である。

山中教授は私と僅か4歳違いの45歳の若き医学者だ。それを知ったとき震えがきた!!!
同世代にこれほどまですばらしく、また世界を相手に孤独に戦っている人がいたのかと…
それをなにも知らなかったという恥ずかしさ…

彼は海外のインタビューですでにこの国の実情を嘆いていた。。


「日本の幹細胞研究に対する政府の態度には2つ大きな問題がある。まず、一つの幹細胞に関する実験のたびに500ページもの書類3部を提出しなければならない。これを書くのに1カ月、さらに政府の審査に1カ月、これでは英国のライバルがその間10回以上実験できてしまう。本気で競争しようと思ったら、研究者を一人首にして代わりに事務員を2人雇わなければならない。だから、ほかの研究者が、公務員仕事の代わりに実験に集中できるよう、幹細胞を人工的に作る方法を見つけたんだ。

それから厚生省の気の変わりやすさ。長期研究を短い期間に押し込めたり、十分な資金を与えずに放置したり。問題は、事務官の長が3年ごとに変わることだ。新しい人が来るたびに、科学研究に足跡を残そうと新しい予算を立ち上げるが、科学的な根拠はなく思い付きだけで、すでにある研究プロジェクト(どんなに成功していても)から予算を奪ってしまう。基本的に、3年でプロジェクトが完成できなければ、あきらめろということだ。」


こういう現場の苦悩と挑む偉業との関係をなぜちゃんと伝えないのか?不思議で成らない。

私はここにこの国の大きな問題の一つがあるのではないか?と考えるのと同時に、私が若い時分感じていた拝金主義の悪弊が、バブルが崩壊しここにいたってもまだ払拭されずに流れていることを非情に危惧する。これはこの国の抱えた最大の病巣じゃないかなぁと思うのである。

先に書いたが、本当にこの国は国家としての世界に向けての戦略や、この国の国威をどのように発揚するのか。この国の指導者はかんがえているのだろうか?外交だけが国家間の戦略ポイントではない筈であり、通商だけが国家間の交流ポイントでもない筈だ。総合してこれらをどのように国家戦略として考えているのか?何時もスローガンとして国家の定義を、国民の生命と財産を守るなどとお経のように言うが、この山中教授のニュースを見ているとまったくそんなものは感じない。

私はこの件続けて考えるのであるが、もしチームジャパンが、今最大に危惧する点、日本が競争に負け、実用に役立つ技術の重要部分の特許を外国企業などが押さえてしまうと、iPS細胞を使った将来の治療に日本の患者が高額の特許料を払わされる可能性を克服できたとしたとき、この国は一体どのようにするのだろうか?他の国に高額の特許料を請求するのだろうか?

同じ病気で苦しむ人間たちの問題なのだが?これに国境があるのだろうか?この国の指導者はどのように考えるのか?


これは国が戦略として真剣にもっと取り組むべき課題なのではないのか?そして国民にちゃんと説明する義務があり、報道機関はもっと本質を含めた報道をすべきなのではないか?と私は思うのである。


私の理想としては、この国がこの特許に関わる部分を全て奪取し、世界に向けて無料で開放する勇気をもつことを願う。それこそが真の国際貢献であり、この国とこの国を2000年以上に渡り守ってきた民族の誇りなのではないかと思うのである。


それよりなによりも、もっと国全体でこの偉業について深く考えるべきだと思うし、とにかく



ちびっこに知ってもらいたい、教科書に載っていない、現在進行形の偉大な学者がこの国に存在することを。。




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投稿者 junca 23:57 | コメント(0) | トラックバック(1) | 人物
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