2007年12月04日(火)
U君の男泣き一歩手前 
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野球・オリンピック予選。
実にいい試合だった。結果は大量得点差での快勝ということなのだが、そのプロセス、途中逆転され、その回の裏反撃にでたところが実に良かった。
日本の野球らしい野球、スモールベースボールと銘打っていたが、まさしくコンパクトで無駄の無い、相手の隙を鋭く突く攻撃、ものすごくシビレタ!!
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勝利インタビューで目を潤ませながら話していた星野監督を見ていて、思わずもらい泣きをしてしまった。
本当にいい内容だったと思う。あの乾坤一擲のスクイズ作戦、それを最大の突破口に皆がコンパクトに逆方向に打ち返し打線が途切れることなく畳み掛けたのを見ていて震えがきた。
そえぞれがそれぞれの役目を十分に果たし、次に繋ぐ、だれか大砲に頼ることなく全員がチームのために尽くす、本来どの選手を取り上げても超一流のプロなのだが、皆一選手として進塁だけを考え、全力で勝ちに向かう姿に感動した。WBCでもそうだったが、やはり世界を相手に日の丸を背負って戦う姿、これは本当に感動する。
監督・コーチも大変だったと思う。想像を絶するプレッシャー、それに立ち向かう姿、これはWBCの王監督もそうだったが、今回の星野監督も勝ったあとの安堵の涙は見ていて本当に感動した。日の丸の重みとよく簡単にマスコミは言うが、とてつもない重圧であることは間違いない。
それは視聴率を見てもそうだろう。その中で力を発揮し、実績を残すなど並大抵の精神力ではないし、今回もう一つ感動したのは、星野監督が“子供たちに夢を与えたい”という事を高らかに宣言していたのは、小さな野球少年を持つ父親からすると、かなり“ジーン”とくるものがあった。
今、色々楽しいことがある。ゲームやテレビ、インターネットその他のおもちゃ、我々の子供時代とは比べようも無いくらい遊興には事欠かない。
しかし、やっぱり、そんなものより、野球に限らないが、高い次元で戦う男達の姿、そして国を代表する男たちの戦い、これは自分の息子には是非にも感動してもらいたい。対戦相手はもちろんだが、プレッシャーという自分との戦い、そして仲間があって初めて活かせる自分のプレー、そして自分のプレーで仲間を救う。こういった事を一流のプロが金とか条件を後に回し、プライドを前面に押し出して戦う姿にこそ真の感動があり、子供には大きな夢を与えられるのだと改めて確信させられた。。
なによりも最後皆が一つの輪になって監督を無邪気に胴上げしている姿、仲間たちと一つのことを成し遂げる喜び、今の子には一つでも多く経験してもらいたいのと同時に、こういう姿に格好よさや憧れを抱いて欲しいのである。
そういう意味でU君と一緒に見ていて、星野監督の“男泣き”にはもらい泣きをしてしまったのであった。
なぜそこまで熱く語るのか?
実は伏線があった。
野球っていいなぁ!って思えることが…
ちょっと親バカな出来事なんだが。。。
この2週間ほど週末は全て仕事で家を離れていた。毎度おなじみの出張なのだが、いよいよ年末で忙しくなりはじめでもあり、正直家族や子供のことは真中にはなかった。しかし、そうは言ってもほったらかしと言うわけにもいかないので、毎日夕方には定期連絡を必ず入れることにしている。
その日も同じように嫁の携帯に連絡した。
「もしもし、俺。なんにもなかった??」
「それがぁ!あってん」
「えぇ?ちょっとまってくれよ・・なにがあってん??すぐ帰れへんで?」
「ははははは、問題ちゃうで!U君の野球のこと」
「あぁ、そう言えば今日試合言うとったなぁ」
と、先日のブログで書かしてもらったが、U君はレギュラーではない。しかし完全な補欠でもない。まぁ実に今中途半端なポジションにいて、試合にも出たり出なかったりという日々だ。しかし毎週末練習には機嫌よくでかけ、“楽しい”と帰ってくる、そんな野球少年だ。。
「試合出たんか?代打??」
「それがさぁ!スタメン!」
「えぇ」
一瞬、我が子ながら“うそぉ”と心の中でつぶやいてしまった。
実はU君の5年生チーム、現在20名いる。その中で、スタメンで出るのはなかなか難しいのだ。だから先日の問題にも発展したのである。
「それで?どうやった?三振、エラー?すぐ変えられた??」
なぜかネガティブな状況ばかりが先に口をつく…
「なんでぇ、ちゃうわ!大活躍やってん!!」
「えぇ?だ・い・か・つ・や・く???」
それはどんな状況で生れるのか?瞬時に頭の中に“絵”が出てこなかった・・
「三打席二安打!チャンスメーク&しかも勝利打点含む」
「えぇ??だれが?」
「だからU君!うちの子!」
この試合、実はある大会の準決勝でしかも強豪ぞろい。なかでもこの準決勝はここ何回やっても勝てない強豪チームだったのであるが、なんとU君の活躍でその日は辛勝したらしいのである。
嫁もその場で見ていて震えが止まらなかったのはもちろん、周りのお母さんがたから、激賞をもらい、涙をこらえるのに必死だったらしい。このとき始めて“男の子を産んで良かった”と感じたらしいのだが、常に叱ってばかりいる我が子、これほどまでに突如良い子になると、どう誉めたらよいものか?と少し悩んだらしい…
「へぇ~。。コツコツやってると、あれやな?」
「そうそう、でもまさかスタメンで使ってもらえるやなんて思ってないから、最初っからドキドキしどうしで、でも練習も休んでなかったから、監督も気ぃつこて使ってくれたんかなぁ?」
「そら、それもあるやろ。せやけど、聞くとチームにとっては大事な試合やないか?多分そんな温情とは違うて、試さはってんや!U君の力。それに偶然って言うてやると可愛そうやけど、応えられたんや!でもまぁなんにしてもコツコツやってれば良い事あるなぁ!」
「そやねん、練習も一回も休んでへんし!」
と、興奮冷めやらぬ嫁、何度も同じ事を繰り返していた。
私も少なからず興奮していた。“やったぁ~!!”
「ところで、U君は?ヒーローインタビューしたいんやけど??」
「あっ、ごめん・・そばにいるから!ちょっとまってな。」
しばらくすると、今日の我が家のヒーロー選手登場!
「もしもし」
「おっ、U君か?お前聞いたぞ!今日大活躍やってんて!」
「うん。」
電話口の向こうのU君、少し照れていた。
「おい、どんな感じやっってん?聞かせてくれよ?えぇおい?」
「あんなぁ、なんかバット振ったら当たってん」
「えぇぇ?す、すごい??…よ、よかったなぁ・・・バットもってて。。。」
と言うしかなかった。。当てモンのようなヒーロー…・
まるで昔ホークスにたドカベン・香川のヒーローインタビューを彷彿とさせた。
「香川さん良い当たりでしたね?打った球はどんな球でしたか?」
「なんか、こんな丸い球ですわぁ」
「……」
まぁなんにしても良かった良かったである。。
そしてこの日から、我が家の嫁は星一徹となったのである。夕飯前に鋭い怒声で
“素振りわ?”とU君を叱るのである…
活躍するのも良し悪しのようなU君。。。。
しかし翌週はいよいよ決勝である!
この翌週も私は仕事であった。そして先週と同じように嫁の携帯に電話したのであるが、先週のこともあり、やはりU君の試合が気になり、開口一番そのことを聞いた。
「おい、今日はどうやった?」
「うん。。負けた」
「あぁそう・・残念。ところでU君は出た?」
「出たよ、スタメン。。でも今日はあかんかってん。。でもな・・」
「でもな・って??なんかあった??」
「それが・・閉会式で、賞もらってん。。」
「えぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ??うそぉーーー??」
「ほんま。。敢闘賞。」
「敢闘賞?それはあれか?やっぱり先週の活躍か?」
「多分。。でも本人名前呼ばれてるのに、敢闘賞のこと完投賞やと思ってて、俺とちゃうわと思ってたみたい。。アホやろ。。」
「はははははっははは。ところで元気ないね?どうしたん??」
「うん、まぁちょっと。。でも良かったって今日思えてん!」
「うん??なに?賞のこと??」
「ちょっと違うねん、でも、野球っていいね!」
「あぁ??」
なんか良く分からなかったが、明らかに先週の嬉しいというような喜びとは違い、噛み締めるような喜びだった。。
まぁ家に帰ってゆっくり聞こう。。。
家に帰るとU君は寝ていた。
落ち着いて一段楽してから嫁に気になっていた事を聞いた。
「あのさ?電話で言ってた、良かったって思えた事ってなに??野球の??」
嫁が説明してくれた。
その日の試合、先週に引き続きU君はスタメン出場だった。しかし先週みたいな活躍はできなかったが、監督の指示通りバントを決めたりと必死になってプレーしていたらしい。周りから先週の活躍が話題になり少し評判にはなっていて僅かなプレッシャーを感じていたらしい。試合は良い試合だったが、中盤逆転され一点差で向かえた最終回、ランナー一塁二塁の逆転のチャンス。
しかしツーアウト、なんとここで最後のバッターがU君だったのである。。。
U君渾身の力を振り絞りスウィング!
しかし、残念無念のピッチャーフライ。。。。
ゲームセット!!
これが試合の概要だったのである。。
先週の活躍から今週は最後のバッター。実に激しい局面を二週にわたり味わったのである。
しかし、嫁がよかったぁ!と感じたのはこのあとだった。
いつも、失敗しても“おちゃらけ”たり、怒られても“いいもーん”とはぐらかす子が、
ピッチャーフライで討ち取られたあと、しばらく打席に立っていたらしい…
嫁が遠目で見ていると
試合に勝ってホーム近くで喜ぶ相手チームの隙間から
必死に目をこするU君の姿が見えたのである!!!
「パパ、U君泣いててん・・私・・あの子が活躍したことより、なんか驚いたいうか・・うーん少し嬉しかってん。。。泣いてる姿みてたら・・チームのために自分なりになんとかしよう思たんやと思う。。なんにも言わへんけど。。それがなんかさぁ!嬉しいやん!!」
。。。。。。。。。。。。
しばらくその話聞いていて、フッと昔がよみがえった。
そうだった、少年時代、自分が活躍しようなんて思って試合に出場したことなどまったくなかった。いやそれどころか、そんな余裕はまったくなかった。皆に迷惑かけないよう、できたら、チームのために役に立ちたい、その一心を教わるわけではないが何時も感じていた。。。。
仲間を。。
「そうかぁ!U君の悔し泣きやな!!でも男泣きにいつか変わりそうやな!」
「うん!」
昨日の星野監督の男泣きとU君の男泣き一歩手前・・
つくづく感じた
野球っていいなぁ!

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