2007年03月26日(月)
支星 2 
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しかし、正直かなりの田舎。
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途中までは県道で聞いた地図通りであったが、途中から“地道”に近い道路。
「たしかに分かりにくとは言っていたが・・・こんな所に??」
しばらく探しもって道を進むと小高い坂に差し掛かった。見上げるとお寺の鐘が見えた。
「聞いた場所だとここだけど??寺??」
疑問に感じながらも寺の正面玄関まで車で行くと、それ以外の住居や建物はまわりになかった。
やっぱりここなのか?と思いつつ目を境内にやると、お堂のほかに住居らしき建物と平屋のプレハブのような建物が立っていた。そしてそのプレハブのような建物から、会社で見かける美しい女性が笑いながらこちらに手を振り近づいてくる。
「すいません!遠いところ!分りました!」
あぁ!ここか!しかし・・・お寺の娘さんだったとは・・
「すいません。無理言いまして。しかし、お寺だったんですね。」
「ええ。貧乏寺です。。」
聞くと、由緒ある寺らしい。当時の領主、いわゆるお殿様の菩提寺で、一般の檀家が沢山いるような寺ではなく、現在細々と維持しているような感じらしい。。
彼女が出てきたプレハブに歩を進めながら軽い会話をしていると、彼女から
「実は、今日こられると言うのを先生に話したら、自分も聞きたいということで今日お見えなんですよ。すいません。。事前に言ってなくて。。」
あぁ・・ややこしいのが。。
しかし画塾の師弟関係なんてそんなものかも知れない。
彼女の画号も先生の一字をもらっている事を考えても、お気に入りであることは間違いないだろう。
この先生もその昔、私たちの会社とは仕事でつながりがあったと聞く。どのような印象をわが社にもっているのか知らないが、いずれにしても黙って進められないだろうし、いずれ先生にも会わなくてはいけない事だろうから、まぁ、いいかっと思った。しかし、かなりの年配と聞く。私のような若造がチャラチャラ経験もなしに偉そうな説明をして大丈夫かなぁ?と多少の不安はあったが、いまさら、じゃ、後日とはいかないので会うことにした。
プレハブのようなドアを開けると、目を疑うようなファッションをした先生らしき人が椅子に腰かけていた。。
池田万寿夫のような風貌、紫のジャケットに緑のシャツ、赤のネクタイ。。襟元には大振りの金のサクソフォンだかトラペットだかのアクセサリー。。
一体、どんなファッションセンスなんだ??しかも、どこで売っているのか??
というより、この色彩感覚?絵描きとして大丈夫なのか??しかもこの先生に教えてもらっている彼女??大丈夫かぁ??頭の中が先生らしき人を見た瞬間混乱の渦に巻き込まれた。。。。
「あっ、はじめまして。」
「うん!こんにちは。」
あれっ?物腰柔らかだ。
そして今日来た主旨を説明した。
先生は黙って聞いておられ、彼女も先生のそばで黙って俯いていた。
話終わると、先生から
「君?たばこ吸う?」
「あっ、はい。」
「そうか!じゃこれ一本どう!」
と、見たこのない“洋もく”を差し出された。
煙草に火をつけ飲みだすと、おもむろに口から煙をゆったりと吐き出した先生がしゃべり始めた。
「なつかしいねぇ!昔、そうねぇ30年、いやぁ40年位前、今日の君みたいに貴方の会社の●●さんと新しい仕事の話をしたよ!その時は僕が京都に汽車に乗っていったものさ!大変だったけど、懐かしいねぇ!でも、あの日があるから今日まで仕事してこれたこかもしれない!ありがたいよ。。そういう情熱が夢を大きくするからね!」
先生がおっしゃった私の会社の先輩の名は、名だけしか聞いたことがないような大先輩で、今の会社の礎を築かれた先達である。。
「がんばって、この子に良い仕事させてください。お願いします。」
「あっ、はい。。」
なんだったんだろう?でも、とにかく了解をもらった。
気づくとわずかな時間かと考えていたが6時前になっていた。あぁ・・結構喋ったんだ。気付かなかったが。。結構な時間一人で喋り続けていたみたいであった。
すると、プレハブのような建物のドアが開き、年配の女性が声を掛けてきた。
「あのぉ!食事の用意ができましたから、どうぞこちらへ!」
えっ?そんなつもりは!
と急ぎその女性が誰かとも確認せず、お断りしたのだが、先生からも
まぁまぁ!と進められ、いただくことになってしまった。その女性とは彼女のお母さんであった。
まいったなぁ。
軽率に伺うと言ったが、先生は来るわ、お母さんが食事を用意するは、申し訳ないことしてしまった。すこし、反省した。たしかにそうだろう、今の彼女と自分の立場を考えると、彼女側がそういった接遇をしてもおかしくないし、そんな時間だ。少し、声をかけるのにしても不遜だったかもしれない。もう少し自分に謙虚にならないとなぁ。。と少々恥ずかしさも感じた。。
案内された場所は、お寺の本堂であった。
戸を開くと年配の男性が先に座っていた。彼女から紹介された。
「父です。」
えっ?うーん。。大層な事になってしまってる。。。。。
しかし、ある意味彼女の背景が一気に分かった。お嬢さんだ。それはお金持ちとかそういった意味ではなく、キッチリとした教育と家庭環境、それと現代の若い女性とは違う感性、日本人的な感受性が育つ環境に身を置いているという意味に置いてである。
「さぁ召し上がってください。なんにもない田舎料理ですが。」
本堂を上座に、席が設けてあり、真ん中に鍋、そして席につくと前に、巻きずしやらなんやら
豪華に用意されている。しかも少し薄暗く、明かりも蛍光灯とかではなく、なにか紅い灯が周りにあり、時代劇の密談のような雰囲気を感じる空間であった。
「すいません。いただきます。」
お椀に鍋の料理を入れてもらい、見ると、トン汁のようだが、今まで見たことのないような具だくさん。実に美味しかった。
遠慮せず!と進められ、合計3杯もおかわりし、満腹であった。
俺は、何しにきたんだぁ??
結局、彼女とはほとんど話ができなかった。
お堂を出ると真っ暗であった。都会と違い街灯などない。月明かりとわずかなお寺の灯りだけである。そして静かだ。お寺とそれを囲む山がすこし怖いようにも感じた。あぁこんな環境で生活していると描く花鳥画の感性も違うだろうなぁ、と一人心の中で感心していた。。
別れ際、彼女が今度会社に来た時、他のメンバーを紹介するので、その時具体的な打ち合わせをと約束し、その日は辞した。
それが彼女との最初の出会いであった。。
つづく(3/27 23:57)

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