2006年11月26日(日)
武士の一分 
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そんな事は特別な事ではないのだが、いつもと違ったのは、横で嫁が真剣にテレビを凝視していたことだ。。
いつもはチラシや雑誌、新聞などを見ながらの“ナガラ”なのだが、昨日はいつもと違い画面を見入っていた。。
“???”
と、興味を惹かれ画面を見ると
山田洋次監督の“武士の一分”を特集していたのだ。。
へぇ~。。どうせ主演の木村拓哉に関心があるんだろう…
が、何時のまにか一緒に画面に食い入っていた。。。
この映画、ちょっと前からCMなどで宣伝が始まり、見た瞬間このタイトルには
“グッグッー”と惹かれていた!!そしてあるワンシーン!主演の木村拓哉の台詞が胸を捕らえた!!!
「武士の一分としか、申し上げれましぇん。。。」
震える声で、しかし力強く、木村拓哉が放言で!!
弱者が兆戦を決意するが如きそのワンシーンがグッと胸を掴んだ。。。
このシーンだけでも。。期待できる!
そしてなにより山田洋次!!みたなぁ~。。
好きな監督だ。。特別なエンターテイメントではないが。作品の骨格が肌身に合う。
1970 家族
1977 幸福の黄色いハンカチ
1991 息子
1993 学校
2002 たそがれ清兵衛
この辺りを見てきた。。
息子は確かデートで劇場で見た。。
私は特に家族が良かった。。
ひょっとすると、このブログでU君との関係を書くとき、この映画の中の笠智衆と井川比佐志を連想している節がある。。
この映画、泣いた。。。
番組は山田洋次監督のディティールへのコダワリも取り上げていた。この部分が私には事の外興味を引いた!!!
映画における時代考証は実に大事であり時代劇と呼ばれるものであればなおの事で、この部分の仕事が映画全体に及ぼす影響はかなり大きいと常々感じていた。。
正直この部分がいい加減だと全て興醒めとなるし、実際ディティールが杜撰なもので私にとっての名作はない。。。まぁ映画のコンセプトを何処に求めるかによっても違うのだろうが、少なくとも私好みの映画においてはこの部分はしっかりしてもらいたい。。。
中学生の時、黒沢明の影武者を劇場で見て、武田信玄以下の武将のちょんまげに物凄い興味を抱いた。所謂“ビン”と呼ばれる耳の上の幅?が今まで見たこと無いぐらい狭いのである。
頭頂部からビンまでの月代部分が大きいのである。そして、ちょんまげ自体も小さく、今まで時代劇で見たこと無い肖像であった。。。この時の興味はその後も続く。。実際にはこの時代の頭髪はこうだったのでは??と。。。そして今でこそ主流であるが、今から30年近く前の映画で、織田信長に南蛮のビロードのマントを着せ、徳川家康と長篠の戦場でワインを酌み交わすシーンは斬新であり、そうだよなぁ!積極的に西洋の文物に対する興味を示し、なおかつ宣教師の記録も多数残っていることから考えると、この装束はごく自然であった。。かえって従来の鎧兜の方が織田信長像とくに天下統一目前の長篠の戦辺りではオカシイ感じがする。。
後日、黒沢明の衣装についての考えが僅か記事になったものを目にしてなるほどぉ~と関心した。。それは、時代考証の上にたって、ただ単純に再現するだけでは映画の衣装としては失格である。そこには映画の内容を支え、なおかつ演技者、及び全体の雰囲気を高い次元の表現に押し上げるモノで無くては。。それは、そこからそれぞれがイマジネーションを働かさなくてはいけない。。正確なコメントではないが、たしかこんな事が書かれていたような記憶がある。。
だから影武者の奇妙と感じた頭髪、ちょんまげは少しディフォルメしたものかもしれないが、
見ていた私には、戦国武者という臨場感が執拗に付き纏ったのは間違い無かった。。。それはテレビ時代劇と瞬間に種別できる要素のひとつとなり得た。。
この番組のなかで山田洋次の考え方が語らえていた。
「いい時代劇もありますけども大部分の時代劇は、『時代劇だから』と言う特別な枠の中で撮られてるというか、日常的な生活のディテールとか、あるいは殺陣における本当の生身の剣を使うときの怖さとか、そういうリアリティーをもうちょっと時代劇に持たせて撮れないものかなって前々からあったことはあったんですね。」
「あまりにも嘘が多いというか。ひとりで十人も二十人も相手にしてね、パッパパッパ斬って捨てちゃったりしたりとか、本当にそんなこと可能なのかな。良く見てると後ろから斬ろうと思ってなかなか斬らない。自分が斬られるまで待ってる、みたいなことがあるわけでしょ?もっと、本当は怖かったんじゃないかな、と。どんな剣の名手でもね。真剣で抜いたら怖かったんじゃないかとかね」
私もその部分は強烈に感じてた。。
だから、その部分が非常に優れているナァ!と関心したのは、原田芳雄の竜馬暗殺、萩原健一の股旅などである。。
例えば新撰組などでは、沖田総司という天才剣士を中心に、近藤勇はじめ土方などを華麗な剣豪集団のように演出され、鮮やかな殺陣を画面構成に入れる。
しかし、実際の新撰組の剣法は必殺の剣であり、市中見廻りにしても必ず3から4人を最低の単位として構成していた。これは何を意味するかというと、少々汚い手段に訴えても必ず仕留めるという事ではないだろうか??先ずは数で上回り、多少の余裕の人数は監査的に戦いぶりを監視していたのではないだろうか??
誰かの小説で読んだが、新撰組の内ゲバに多用されたほとんどが、油断させてから呼び出し、背後もしくは突如接近した横脇から刺すという構成になっていた。私はこれが実際には近いんじゃないだろうかぁ!と感じた事がある。。。
そんな恰好良く向き合って、連戦連勝など、幾ら剣の達人でもありえない。1人そんな人間がいたとしても組織としては当然或る筈が無い。。仕事として人を殺す集団にそんな美学が先行するわけが無い。。法度で縛られ、確実に仕事を終えなくてはいけない連中が考えるのは、如何に低労力で合理的に仕留めるかだけだ。。。
池田屋事件にしても実際には、薄ぐらい中で天井も低い環境を考えると、ほとんど突き合戦だった筈である。。無暗に刀を振り回すと柱や壁に刀が突き刺さるか、間違いなく切っ先が折れる。。大半の隊士がこの時分もち得た刀は安物の筈だろうから。。。
そんな細かい事ええやないかぁ!となるだろうが、さにあらず!ここが心理描写上もっとも大事である。。そんな環境にいる人間という表現を出すのには、実に重要な要素である。。
山田洋次も言っているように、“どんな剣の名手でもね。真剣で抜いたら怖かったんじゃないかとかね”
考えると刀は包丁のドデカイ版だ。。今、包丁を持って歩いている輩がいたら、それだけでも怖いが、自分で持って歩いたらどんな感じがするだろう??携帯ストラップのようには感じないだろう・・
サムライは人を殺すという事で作られた刀を始終身につけているのである。。。お互いが…
そんな緊張感を出すのに映画の内容によっては、やはりディティールの精度の高い構成は不可欠だ。
しかし映画の一番重要な部分は、やはり脚本に集約される作品の内容だ。
今回の映画は見ていないのでなんとも言えないが、しかしタイトルの武士の一分!この言葉、今あるのだろうか??一分なんて言葉?現代社会で??
私はおおよそ掴んでいるつもりだったが、念の為、いつもの必殺25年使用の広辞苑を広げた!
一身の面目
一人の分際
面目とか分際とか。。今どのくらいの重みがあるのだろうか??
そんなものを携えて生きているだろうか??
自分は??
分際などはある意味違う捉えられ方をしているのではないか??
でも、人間の時々にはかならずこの分際が支配するはずだ。。
我々の先祖である日本人には、面目や分際というものが、その人生の中心にあったのだ。。
山田洋次曰く
「昔の人たちは、江戸であれ庄内地方であれ、とにかく静かだったんだな、と。大きな音なんかしなかったんだな、と。その分だけ町で物売りの声とか鳥の鳴き声とか、虫の鳴き声とかね、川のせせらぎとかがよく聞こえたんじゃないのかなと」
こんな古の環境のなかで、名も無い一人の武士の面目、いや、この時代の人間が美徳として持っていたものを現代社会の我々に表現する。現代の喧騒を掻き分け!
その意味は大きい!!
武士の一分
この武士という部分に自分を当てはめた時
なんという事葉が嵌るのであろう??
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投稿者 junca 23:57 | コメント(0) | トラックバック(10) | スタイル
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