2006年11月12日(日)
泥団子の詩 
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「ただいまぁ」
「おかえり、あれっ??早いねぇ!」
「うん。。」
特に理由はないのだが、出先から直帰した。。
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居間に入ると、いつもと違う??
「あれっ??U君は??」
外はもう暗い…
秋の日暮れは釣瓶落としというが、ほんとに薄暗くなってから暗くなるまでは早い!
「まだ外で遊んでるの??」
「うーうん、2階。。」
「2階??何してんの??」
「勉強。。」
「えぇ??うそ!!」
「ちょっと怒ったから。。」
着替えて、新聞を読みながら酒を飲み始める。
30分しても降りてこない。。
「あれっ??U君まだしてんの??勉強。。」
「どうだか??ゲームしてんのちゃう??」
「あーー。。。」
「勉強なんかするわけないやん!!」
まぁ。。そんな感じもする。。
コッソリ覗いてやろう!!
階段を抜き足差し足…
部屋の扉が開いている、コッソリ顔だけを出して部屋を覗く…
なっ、なんと教材を机に置き、椅子に姿勢良く座っているではないか??
しかし、なんかオカシイ??
極端に俯いている。。。。。
うん??
手が机の上にない??俯いた下で
シャカシャカしている!!
暫く静かに様子を盗み見る。。
突如頭を上げ、おもむろに“DS”のタッチペンをしまい出した。。
やっぱり!!分かっていた事とは言え。。。
机の電気を消し、DSをポケットに忍ばせた瞬間!
「おい!U君!」
「わぁぁぁぁぁぁ!!」
と、漫画のような!“びっくり仰天!!”
ははははは!
「お前、DSしてたやろ!」
「。。。。。。。」
言い訳のしようがない様子。。。観念したのか。。俯いて。
「なぁパパ。。」
「何??」
「黙っててくれへん。。内緒にして??」
「なんで??怒られるからか??DS取り上げられるから??」
「うん。。」
ははは。。分かってることだが、神妙だ!!
「ええよ!」
「ほんと!約束してくれる??」
「おう!」
私もそうだった。よく自分の部屋にこもり漫画を読んでいた。。
早く時間が経たないかなぁ??
勉強などするはずない。。その男の子供である!イレギュラーでは気持ちが悪い・・
階段を降りようとしたとき足下に大きな本が落ちていた。。
「うん??」
と拾い上げると、表紙に
“どろ団子”とある!!
今、こんな本があるのかぁ~!!少し感動した。。
「U君!これ泥団子の本??」
「うん、パパ知ってるの??」
「知ってるも何も、パパも小さい時分、必死になって作ったよ!!」
「えぇ!ほんま!!」
「そうよ!!一回だけピッカピッカのが出来てナァ!!」
「へぇ~!」
「U君はできた事あんの??」
「ううん。。できん。。なんか綺麗にできひんねん。。」
「そうかぁ~!これ難しいやろ!!」
「うん!!」
今住んでいる所にやってきたのは私が4歳の時だ。
今から35年前である。結婚してから暫くは色んな所にいたが、10年前に帰ってきた。
今住んでいる所は、今でこそソコソコの住宅街になったが、来た当初は家もまばらで、アチコチに空き地が存在していた。
遊び場所に困る事がなかった。造成前の空き地に土が山のように盛ってあり、子供にとっては小高い丘?状態で色んな遊びができた。
なかでも“泥団子”作りはチビッ子の間で一大ブームになった。。
今は知らないが、当時のこの地域、空き地、造成前の土地などがふんだんにあり、泥など至るところにあった・・
誰に教えられたのか?今となっては覚えていないが、皆して競う様に作った。
一体どこから流れてきたモノなのか??誰が始めてのか実に不思議なものだ。今、本にもなっている事を考えると、日本中のちびっこが私を含め30年近く遊びに取りいれているんじゃないだろうか??チビッ子の間で続く静かな遊びのスタンダードだ!!!
今はもう作り方をあまり覚えていないが
泥というのか粘土質、いや砂に近かったかなぁ~??それらをこね、固まったところで擦り、艶を出して行く。サラサラの砂をかけ、コンパウンドの様に何度も何度も擦る。。たしかこんな作り方だったと思う。もっと秘伝の工程があったようにも思うが…
その時の条件で出来方がまったく違う。
我々の所で出きる大半が、小さい石が含まれていたから、出来あがると“ジャガイモ”みたいな肌のモノが多かった。。たしか、あまり粘土質が高すぎると光沢は出るが、色が黒ずんでいて綺麗ではないから、B級あつかいだったような気がする。。少し粘質はないが、所謂砂に近い質の土をこね、水を加えながら創り出すものの方が遥かに綺麗だった!!肌色というのか少しオレンジがかっていて、光りかたも、柔らかさがあった。。
しかし、出きるか出来ないかこれは工程の後半に分かるのである。。
ひょっとして?なんて何度も期待するが、いつもジャガイモみたいのばかり。。
なかなか簡単には出きるものではないのである。。
子供にとっては、自分の手から突如出現する“宝石!”のようなものだった。。
そんなある日
いつものように友達と泥団子を作っていた。。
「あれっ??いつもと違うなぁ~??すべすべしとる…」
コンパウンド代わりの砂をかけて擦っていると、明かにいつもと違うモノが手のひらにある・・
「あれっ??」
隣の友達が
「どうしたん??」
と聞いてきた。
「あんな、なんか、これ!」
と、友達に見せると
「わぁぁぁ!!すごい!ピカピカの泥団子ぉーーー!!」
と絶叫!!
「えぇ??これが??」と作った自分自身が分からなかったのである。。
それもその筈である、完璧な皆が目指すものを見たことがなかったのだ!
「それそれ!それやー!おーいみんなぁー!凄いのが出来た-!!」
回りにいた子供が皆集まってきた!!
「うわぁ!すごい!こんなん見たんはじめてやぁ!!」
知らない子供も含めワサワサ集まってきた。。
なんとも気恥ずかしくなり、慌てて家に帰った!
家につき改めてマジマジ眺めると、確かに肌色というかオレンジがかっていて、角度を変えてみるとピカピカ光っている!!
その瞬間!にっか~!!
できたぁ~!!
このニュースが近所のチビッ子間に流れ
近所の子供達が次から次から見にきたのだ。。
「ほらっ!」
「うわぁ!ほんまや!!」
でも、皆欲しいとは思っても、クレとは言わない!!
くっそぉ~!!俺かて!!なんて気持ちが皆にあった!!
貰っても意味がないのである。
自分で作ってこそだ!!
買えないものだから!!
しかし!!
或る時、見せていて手から落ちた!
「あっ!!」
ぐちゃ
壊れた。。。。。
あーーーーー。。。。。。。。。。。
一瞬にして消えて無くなった。。。。。
それから何度作っても同じようなモノは出来なかった。。。
でも、作り続けたような記憶がある。。くっそぉ~…
と、泥団子の本を見ながら、当時をぼぉ~と考えていると
U君の声が
「パパ?なに考えてるの??」
「あっ。。」
そうかぁ~。。
あの時から今も同じや。。続いてるナァ~!
今も泥団子作ってる。。
色んな所行って、土を探して、捏ねている。。
ひょっとして、なんて考えながら。。。いつも失敗しながら。。
何度も何度も土を変えて、
何度も何度も捏ねて
何度も何度も研いて!
それでも出来ない。。でも続けてる。。
いつかピカピカしたものが手に入るんじゃないかと期待して。。
「U君!」
「なに??」
「いつか出来たらいいなぁ!ピカピカの泥団子!」
「うん!!」
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