2006年10月19日(木)
雲の記憶 
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部下の女性社員から
「お話があるんですが・・」
と、切り出された。。
うわぁ、
キタ-。。。。
そうかぁ辞めるかぁ???
何度も経験したが、嫌なものだ。。
変な意味ではなく、この子は“Tちゃん”と呼んで結構可愛がった。
明るく朗らかで、感情の起伏を顔に出したりしない、良く出来た子だった。。
さほど気転がきくという事はないが、安定的な仕事をしてくれ、安心感があった。。
それが…いなくなるのかぁ。。。
はあぁぁぁである。。Tちゃん以上の人材???
無理だナァ。。Tちゃんと同じ人材??これも無理だナァ。。。
7年近く仕えてくれた。。
「ここではあれだから・・上に行こうか??」
「ハイ」
と事務所フロアーを出て上の階の会議室に行く事にした。。
二人エレベーターに乗ろうと、私が前を歩き彼女が後ろをついていた。。
事務所を出て数歩行くと、突然彼女が喋り出した!!
「結婚するんですよ!!私!!」
「えっ???」
「結婚ですよ!!」
。。。。。
私はてっきり辞める話だとばっかり思っていた。。
「そ、そうか!。。。。」
と顔がすこし強張った。。
「どうかしました??」
「いっ、いや。。おめでとう。。ところでどんな人??」
一歳下の警官らしい。家庭もしっかりしている。
「すごく優しいひとです!」
キラキラした笑顔だ!!
少し眩しく感じた。そして懐かしくも感じた。。。
恥ずかしくも感じた。。。
。。。。。
実のところ、想像のなかになかった。。この子が結婚すると言う事が。。。
でも良く考えれば適齢期であり、なんにもおかしくはない。。
私のほうがオカシイのだ。。。
確かに最近綺麗になった。。
改めてみると、最初出会った頃にくらべ、
綺麗だ。。
髪の毛も伸ばし、大人ぽくもある。。。
あっ!!
と、思い出した事がある!!!
休日届けを良くもって来た。。しかも必ず水曜日。。
デートかぁ??などと茶化すと
「ちがいますよぉ!」
と答えていたが・・
そうだったのだ。。。。。。。。
「おめでとう!どうするの?仕事??」
「それなんですが、続けたいんですが??」
「えっ??」
「あっ、駄目ですか??」
「いやぁ。。そうじゃなくて、てっきり辞めるのかと。。」
正直ホッとした。。
この時はそういう会話で終わった。。
しかし、今日
「あのぉ・・」
「うん??」
「辞めたいんですが。。」
「そうかぁ。。」
いろいろあるのだろう。仕方が無い。
思うと入社しもうすぐ20年近くになる。
様々な人間が交錯して行った。。。
そう思うと円満な寿退社は少なかったような気もする。。
駆け落ちのようなものもあった。
失踪に近いものもあった。。。
様々である。。
変わらないものなんてない、必ず変わるのだ。
形も変われば気持ちも変わる。
仕方が無い事だ。。。
ふぅ~。。
と、皆が帰った事務所で1人、ぼぉ~とインターネットを見ていた。。
そう思えば“Tちゃん”はいたって幸せな結婚であり、円満退社だ。
上司としても素直に“よかったねぇ!”と言える。
こんなものは出会いであり、本人が望んでもそうならない事も多い。
フッとある人物の名前が浮かんだ!
伊藤素子!
今から確か25年位前都市銀行勤務の女性行員による横領詐欺の事件だ。
その当時の横領としては破格な金額であった。
たしか1億数千万円。。
今のようにコンピューター全盛の時代になる前の銀行のオンライン詐欺である。。
この女性、美人であった。。
理由は男性に貢というよりも、好きな男性の為にというものだった。。
貢という行為とは感覚が違った。。
しかも32歳独身。。という当時の女性の結婚適齢期感としては中途半端な感じがあり、美人、そして優良企業の社員である。
その世間一般の表面的認識としては才女?的な女性が、インチキな男性との関係の末に起した事件という妙なアンバランス感がなんとも印象的な女性であった。。
発覚前にマニラに逃亡。
逮捕後の話で“好きな人の為です”と親が聞いたら卒倒するような事を公然と語っていた。。
そして悔恨のコメントなど出てこなかった。。それより当然のような感すら感じた。。
世間の注目は犯罪の悪性ではなく、
なんでぇ??
美人で優良企業に勤める女性が??こんな下らない男の為に、世の中が騒然とする事件を起したのか??だった。。
反社会的な事件であることは間違い無いのだが、
何故か憎悪というような感覚は生れなかった。。。ある種の羨望があった!!
私が中学か高校に入学した頃だった。。
そんな歳の私ですら
この女性にここまでやらせ、こんな事を言わせる男とは??
偉い!!
と正直感じた。。
女性に好きになってもらうのならカクアリナン!!
とまで感じた!!
女性って凄いナァ。。。
数年前、チリかなんかの女性に法外な横領金を貢いだ男がいたが
これなんかは、自分も享楽に耽っていた。。
伊藤素子のように自分は“ゼロ”なんてことはなかった。。
ここが大きく違う。
男性の横領はセイゼイせこい。
が女性のは理解できない。。
八百屋お七の時代、いや、それ以前から
こんなもの到底頭で考えた結果でない。。
駅のホームで子供が線路に落ちたとする。
男性は躊躇する。。
が
女性は瞬間飛び込んで子供を守る。。
これほどの違いがある。
伊藤素子は逮捕されたときの気持ち、どうだったのかぁ??
なんか・・幸せだったような気がしてならない。。
部下の女性が結婚すると喜ぶキラキラした笑顔に対して
こんな“影”のような事件を思い出してしまうとは。。。。
人生の正午を少し回ったのかもしれない。。。
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カテゴリー移籍しました。。。。。。

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