2006年05月15日(月)

bulbbulb 平賀源内と階 bulbbulb

 平賀源内と階 ひょんなきっかけで四国へ行きだして5年になる。

それまで四国など行ったこともなく、ただイメージとして海の向こうの遠い所と言うくらいであった。

関わる事がまったく無かったのだ。。

瀬戸大橋が通っても鳴門大橋、明石海峡大橋が通っても自分にとっては全く関係無いニュースでしか無かったのだが、それがこんなに頻繁に行くことになろうとは思いもしなかった。。

私が四国・高松へ行きだした頃、ルートとしては岡山から瀬戸大橋を渡るか、明石海峡~鳴門大橋を渡り途中国道で行く二つであった。現在もこの二つなのだが、当時時間的にはどちらも変わらなかった。だからルートとしての選択は二つであった。
どちらかと言うと、すべて高速でいける分、岡山回りの方が何となく早く感じられたので、このルートを利用する事が多く、時間的にはどちらもおおよそ4時間位であったと思う。値段的には多分鳴門からの方が多少安かったような気がする。



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しかし現在は鳴門回りからでも高松市内への直通高速が開通し、私の自宅から3時間以内になったので、現在の選択はこちらからのルートを使う事にしている。(その上、最寄りの高速京滋BPが天王山トンネルに直結したのでより近くなった。)

この鳴門回りの高速(有料国道)は高松道と呼ばれている。大半が片側一車線で前に遅い車が走っていると追い抜くのに難儀する。しかし徳島から高松に向かう時は右側に穏やかな“海”が眺められそして高松に近づくと五剣山、屋島と歴史的にも有名な山々が眺望出来るので、走っていても楽しい!

この高松道(徳島~高松中央)には一カ所だけ津田松原という大きなサービスエリアがあり、大抵行きも帰りもトイレをするのに立ち寄る。トイレの前に大きな観光案内の看板があり、ぼぉーといつも眺めるのだが、ある時、そう数年前に気づいた。

平賀源内先生遺品館!志度…

へぇ~一度行かなくては!と思いつつもなかなか行けずじまいであった。

高松から京都へ帰るときに、このサービスエリアの場所は遺品資料館を通り越した位置にあり、トイレに入り出て気づいた時には“あっまた忘れてた!”の繰り返しであった。そして大抵遅い時間なのでなかなかスケジュールの調整もつきにくいのである。じゃあ行きはといっても大半約束の時間ギリギリか途中に携帯電話が鳴り忘れたりと、とにかくここ数年念頭にはあったのだが縁がなく行けていなかった。。

先日、今回こそはと、帰りに行けるよう時間の調整を図り、ようやく行くことが出来たのである。

高松道の志度という降り口を出て一路海の方へ、車で走ること約20分。なかなか分かり辛いのだが国道沿いに小さな看板を発見し、その看板の支持に従い車を進める。

細い細い路地、しかも一方通行の普通の古い住宅街をノロノロ走ると右前方にそれらしき物を発見!!

目を凝らすと“P”と駐車場のマークがあるが、僅か2~3台位しか置けないスペース。。
たまたま一台も停まってなかったので真ん中にドンと停める。。
確かにコンクリート造りの建物で、壁に“平賀源内先生遺品館”と書かれてある。。

しかし、シーンとしておりホントにここかぁ~??と疑う位の物だった。。
私が憧れて止まない偉人のしかも生誕の地に建つ遺品館が…・うーん??

と車から降りると左手に入場券を売っているところがあり、おばちゃんが一人こちらを見ていた。。

見学者が珍しいのかなぁ??と怪訝な顔で近づくと

「いらっしぃませ!どうぞ!」と丁寧に案内してくれた。
建物は僅か10坪位のスペースで、その中には本やネットや様々な資料で見た遺品がならんでいた。

へぇ~!!流石!と言える一級の遺品が展示してあった。。

暫くするとさっきのおばちゃんが現れ、“エレキテル”について詳しく説明してくれ、今から案内テープを流しますからゆっくり堪能して下さい!と出ていったが、私一人しかいないので断りたかったが有無を言わずでていったので、しょうがなくテープを聴きながら拝観することにした。しかしなんか贅沢というか気まずいというか“こそばゆい”感じであった。。

おばちゃん、どうも見に来てくれた事が嬉しいのか、結構丹念に説明してくれる。。

そしておおよそテープも後半になり見終わるかなという頃、またおばちゃんが現れ
「この後、源内さんの旧邸に行ってください!」と言った。
「あっ、隣の??」
「そうです!」
と一端遺品館を出て隣に併設している源内の旧邸に入ると、どこから来たのかさっきのおばちゃんが待っているではないか!!
「はい、ごくろうさまでした!」
「あ、どうも・・」
と、なんともドリフのコントのようなのだが。。。

おばちゃん張り切って説明を始めてくれる。そして目の前にある木の箱を指さし

「これがさっき遺品館にあったエレキテルのレプリカです!!どうぞ触って!触って試してください!!」

「えっ?触って良いんですか??」
「どうぞどうぞ!!」と自慢顔でニッコリ笑った。。

エレキテルのハンドルをぐるぐる回すと

“パチッパチッ!”と火花が散る!!
「うわぁ~!ホンマや!電気出てる!!」
「そうでしょう!昔の人はこれ見てびっくり仰天だったんですよぉ!」
「そうでしょうねぇ~!」
そしていろいろな説明をしてくれる。
郷土の偉人が本当に好きなんだなぁ~と関心させられた。

自分でも可笑しかったが、私はおばちゃんに何度も何度も
「ここ、この場所に源内がいたの?生活してたの??」と聞いた!
私は不思議でならなかった。細い細い路地のこの古い町にあの源内が居たんだと思うと、胸が熱くなってしょうがなかった。。

現在この遺品館を拠点に文化サロン源内というサークルがあり、幻の源内焼の復興や薬草園を作ったりし、研究会もおこなっているらしい。。

へぇ~やっぱり好きな人がいて、源内の偉業を自分らなりに守ろうとしているんだと感じた。

現在でもこの旧邸の奥に7代目がお元気に暮らして居るとも聞いた。

気づくと一時間位おばちゃんと源内の話をしていた。。
最後お礼を言って旧邸を出ようとしたとき

「その奥に銅像がありますから、是非見てください!」と言ったので
「有り難うございます。。じゃ見せてもらいます。。」と見せてもらった。

銅像は立派な物だった。足元にエレキテルを起き遠くを見つめる“源内”が建っていた。
でも、キセルをもった皮肉屋ぽい源内のイメージではなく、隆々とした感じが強くて
“なんか違うなぁ~”と違和感があったが、郷土の誉れとしてはやはり立派な感じにしたんだろうナァと納得する事にした。。

車に乗り込むとさっきのおばちゃんが車のそばまで出てきて、“お気をつけて”と丁寧に挨拶してくれたので、車中だったがこちらも深々と挨拶した。。

あー楽しかった!!なんて素敵な時間だったんだろう。。

と車をはしらせた瞬間、左側の家屋と家屋の間の路地から海が見えた!
一瞬ハッとして車を止め、何故か分からないが海を見に行った。。。。

穏やかな海が目の前に広がっていた。。

源内もこの海をみていたんだぁ~!!そして29歳江戸に向かったんだぁ~!!

何故かさっきの遺品館以上にジーンと来た。。
いや、平賀源内にあったような気がした・・・


よぉ!よく来たなぁ!


実は私、今持って何故源内が好きと聞かれても、正直理路整然とは答えられないのだ。

確かに様々な業績を残した才人ではあるのだが、結局“エレキテル”と“土用の丑”が一般には有名で調べると限りなく様々な分野で登場するのだが、じゃ、具体的に何をした人か判然としない人物だ(専門家は別にして一般的に)。。

平賀家の家督を譲り一路江戸に、そこで本草学の大家となり博覧会を催し大成功を納める。
そして江戸での声望が高まると、出身の高松藩から仕官を強要され、渋々受けるが後に職を辞し
藩主の逆鱗に触れ、以降他藩での仕官を出来なくされるような処遇にあい、生涯フリーランス生活を強いられる。その後様々な分野で新機軸を発見し寵児になるも、どこか一つの道に執着することなく、携わった道のどれにおいても後年に渡って超一流というものになりきれない。

エレキテルも7年の歳月をかけて修復し皆にお披露目するも、最初は驚天動地の評判を呼ぶが、次第に奇術師まがいの取り扱いをされるというなんとも悲しい憂き目に遭う。。

どれもこれも凄いんだか凄くないんだかよく分からない。。(まぁ凄いんだろうけど。。)

しかし、名前は燦然と残っている。。

このよく分からない人物像と生涯本人は不納得であったと思うが、市井に生き続けた事と、これほどの才人が最後殺人を犯し名もなく牢屋で死したことが、私にとっては非常に好意を寄せる源泉となっている。結局なんにも出来なかったという、有史上の偉人と相反する点が実に魅力的だ。

友人の杉田玄白の

嗟 非常ノ人 非常ノ事ヲ好ミ 行ヒ是レ非常 何ゾ非常ニ死スルヤ

という賛も
同郷の渡辺桃源の

半百の齢 なを志の遂げざる事を さぞ口惜しくもあるべきと 今はの時の心さへ思ひやられて
胸ふさがりぬ

という句も

彼の残した

“つらつら思うに 骨を折って苦労して 非難され 酒を買って 好意を尽くして 損をする”

“功ならず 名ばかりついて年暮れぬ”

も全て彼らしさが滲み出ている。。

こんな拗ねた感じ、他に無いだろう!!

彼の生涯そのものが、案外、市井に生きる我々そのもののような気がしてならない。
大半、功成さないのだから。。
我々の中にいる“お猪口著い”の天才!そんな感じかなぁ!!

彼にはいっぱい心の中に“階(きざはし)”があったんだと思う!

高松から勇躍青雲の志をもって出奔したときも誰よりも高い"階"があったであろう!
江戸での声望高き時分にもピカピカの”階”があったであろう。

しかし、
いつも誰かに呼ばれ、もしくは飽きたのか?途中で降りてきたのだ。。

人を喜ばす為なのか、自分の優越感を確かめるためなのか?それは分からないが。。。

でも彼の本当の”階”は、功なさず名をのこすという本人にとっては不満不遇な結果であったであろうが、でもそれこそが彼の人生の真骨頂であり、現代の我々にとっては一番高い頑丈な彼の残した“階”となった。。

私はあのキセルをもった皮肉屋っぽい肖像画が大好きだ。



だってあんな粋な肖像画の人、他にいない!!


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投稿者 junca 23:57 | コメント(0) | トラックバック(1) | スタイル
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