2008年05月08日(木)

fire Basquiat fire

  Basquiat  ゴールデンウィークが終わった。。

ゴールデンウィークといっても子供たちは
それぞれ自分の活動、kyoちゃんはバレー部、U君は野球に毎日出かけ
嫁もそれらの活動を見に出かけていた。。。

朝起きると、大概誰も居ない。
私一人である。。。

こんな時こそ普段欠乏している“栄養”を補給しなくては!!

栄養?

そう、この場合、私の栄養とは、即ち

映画である。。

今年のゴールデンウィークは映画を毎日見ることに決めた!

早速、嫁が作っておいてくれた“おにぎり”を食べ終わるとレンタルビデオに直行。
何を借りるかなどあらかじめ決めない、行って考える。その時の気分だ。
普段、私は大半“やくざ”映画を借りて見るのだが、こんな時こそ普段敬遠するようなものを!とコンセプトにして行く。

棚を右から左、上から下へ舐めるように探す。
悲しいかな、田舎のレンタルビデオショップ、50%はエロビデオ、10%韓流10%は人気のテレビドラマ15%アニメ、残り15%が今回のターゲットだ…・実に選択の幅が狭いのである。
ましてや往年の名作やレアな洋画などかなり少ない。。

そんな15%棚の下のほうに、

うん?と閃くスペル!

B・A・S・Q・U・I・A・T

バ・ス・ケェア・ト???

あー!

バスキア!
そうそうバスキアだ!!!

懐かしい名前だ。。

思い出した数年前に作られたのは知っていた。
見なくてはなぁーと思っていたがそのままだった。。

監督、ジュリアン・シュナーベル!
この名前も実に懐かしい。。

バスキア!シュナーベル!

私が高校を出て大学在学中にかけての“アイドル”
であり絵画界のスーパースターだった。。



ヘリング・バスキア・ウォホール・メアリーブーン・シュナーベル…・
これらのアイコンが頭の中に一気に蘇ってきて、慌ててクリックしまくった!!



早速借りて帰り見たのだが、面白かった。まぁ映画として優れているというよりは、この時代の
実像みたいな、あの時なにがあった?というような部分のリアルな感覚が私としては面白かったのだ。当時、僅かな紹介記事しかなく、彗星のように現れ、瞬く間にアートシーンを席捲し、あっという間に死んで消えてなくなった。。。。当時の私には、この程度の情報しかなかった。

作品を大きく取り上げた雑誌も我々田舎に住んでいるものには全く触れる機会がなかった。僅かなスリット記事を凝視し想像を掻き立てていたのが実際で、なぜか?ウォホールと近い距離におり、なんの関係なのか?それもよく分からなかったが、アートシーンの大御所と新進気鋭のペインターという絵図らは、我々にとって“こいつが今のトップランナーか?”という強烈なイメージを植え付けた。。この映画は、その当時の想像でしかなかったものを垣間見た、覗くような面白さが私にはあった。。

映画そのものも他の伝記映画に比べても上質であることは間違いない。シュナーベルという画家が撮った映画というものの視点が大きな色彩として感じられた。タダ単なるオマージュではなく、絵画ビジネスという側面をストリー構成の大きな軸に置いている視点は、実際にこの世界に身をおいたものの実感としてかなりの具体性があり、叙情的なものだけで時系列を構成していない点が実にリアルであり、バスキアを取り巻いていた環境、時代と何故彼が存在したのか?できたのか?という部分を太い輪郭線で描き出せたのはこの手の伝記映画にとっては秀逸であることは間違いない。その部分がしっかりと構成されているからこそ、バスキアという特異な画家が抱えていた苦悩も分かり安く伝わってきた。。ただ残念なのは、この苦悩が少し散漫だった点と、バスキアの目線ではなく、なんとなくシュナーベルの視線が強いような気がした。苦悩の要素が客観的なこじ付け気味なものがちりばめられており、その連関が少し脆弱じゃないか?しかも終盤に
それらがどうも上手く集約しきれていなかったような気がする。

この映画は先ず結論から語り始められる。それは、二度とゴッホのような失敗をするな!なぜ人は絵が好きなのか?という事だ。

絵画史上の中でゴッホは特別な存在だ。それは作品ではない。生きている間は見向きもされず、
死んでからとてつもない価値が生れたというギャップこそが特別なのだ。これはなにを意味するか?ある意味生存中から価値を見出せなかったという反省点ではなく、こういった価値創出があるのか?という新たな発見であり、それを作為的にしなくては?しかも、なぜ人は絵が好きなのかという疑問を解決する最高の沸点を作り出さなくてはというマーケッターの焦燥感からくる問題だと私は感じた。

その可能性はどこに潜んでいるか?それをゴッホ以降誰しもが探しつづけ、そのパズルの中で発見されたピースこそがバスキアであり、ある意味マーケッター達の生贄になったというのがこの映画の大きな軸であると思うのだ。その最大の要素が“黒人”であるという点だ。これはある意味映画の中ではさほど描かれていないが、バスキアは初期確信的にこのマイナス点を売り込み要素に活用したのは間違いない。それが残されたピースであるかのような売り込みであったのも間違いないと私は思う。このマーケッターたちとの合致点までは最初の結論から受ける流れとしては良かった。しかし中盤から後半にかけて、成功してからのちの姿を画家の客観的な目線にシフトさせた時点から怪しくなってくる。

この視線は画家の目線ではない。画家を取り巻く人間達の視線であり、その中で苦悶する画家という事で一貫すればさほど問題はないし、バスキアの存在がもっと浮き彫りに出来たのだろうと思うのだが、実はバスキアの目線風のシュナーベル視線、画家であり同時代人であり友人でありそれを撮影する映画監督の目線が混入することによって少し全体が散漫になった。これが少し残念だった。。どうもこの時代の実相とゴッホ的悲劇を無理にシンクロさせようとした感覚が最後の部分でリアリティーを無くしたような気がしたのである。。

まぁでも、、色んな意味で面白かったし愉しめた。

見終わった後、ネットでバスキアを調べた。


今は便利だ…

昔、この手のことを調べるのには一時間かけて京都の街中まで出かけ大概立ち読みで情報を収集していた。。、美術書籍は高いからそうそう買えない、だから長い時間をかけ立ち読みで頭に叩き込んだ。。。私の絵画知識などほとんどが立ち読みという窃盗的知識でしかない。。。
輸入の洋書など何度も同じものを見た記憶がある。それからすると今は実に便利だ。。。

キーボードを叩けばいくらでも情報が飛び込んでくる。しかし、情報の垂直化がないのではないかとも思う。すべて水平に広がり、殺人事件もワイセツな内容も、国の根幹的政治も藝術も平滑な段差のないなかで頭の中に流れ込んでくる。。。これは本当にいいのだろうか?とも正直考える。
だからコアなムーブがないのかなぁ?とも思うし、今のお笑いをブームと呼んでいるのも、実は大きな違和感がある。確かに集合体は膨れていっているが、突き抜けた存在が誰もいない。
M1というタイトルによってしか識別できないし、テレビの露出時間から考察しなくては分からない。厳然としてオピニオンが存在していない、もしくはそんなものが必要ないのかもしれない。
そこから考えても、自分が青年期を迎え、価値観を形成した時代の確固たる寵児であったバスキアにはある種のノスタルジーを強く感じてしまうのだ。。

映画は10年前の製作、バスキアはなんと20年前に死去。

そうか20年も前の絵描きだったのか・・と改めて感じた。
私が彼をリアルに知ったのが20歳前後であるから当然なのだが、なぜかそんな昔に感じられなかった。。

それは、今でも私は彼の絵が好きだからだ。

最初に見たときもそうだった。1980年代中盤に登場、パンクからポストパンクにそれを覆うようにヒップホップの世界がミュージックシーンに登場し、グラフィティーなどのストリート文化が、濁流のようにそれまでの価値を飲み込む爆発的な勢いがあり、その濁流の中から踊りでたアーティストこそがキースヘリングでありバスキア、シュナーベルだった。。。

この勢いは若い私を魅了した。落書き・グラフィティーというアナキズムの匂いがプンプンする
アウトサイダーが一気にそれまでの権威を凌駕する風景にワクワクしたのだった。
そしてその背景だけが私を虜にしたのではない、やはり本質的には、その流れの中で見えていた彼の描く絵がすきだったのである。

色々な絵画論があり、バスキアの時代と彼の作品も何がしかの包括的な理論背景を後年植え付けられ、そこから解釈することは簡単である。私が認識していたこの時代のムーブはニューペンティングという名前であった。一般的にミニマリズムやコンセプチャルアートがアートシーンをかなりの強度で締め付け、著しい閉塞感を生み出していた時代に突如その突破口的に出てきたのが
原始的な力強い表現主義、新しい表現主義・ニューペインティングの作家達だった。しかしこれは作家というよりも絵画市場・絵画シーンを取り巻く連中の革命的行為と思ったほうが正確なのだが、とにかくそういった時代的流れがあった。そのなかでグラフィティーが融合し、過去例のない黒人アーティストというカリスマ性を備え登場したのがバスキアであった。だからある意味黒人初の絵画界における表現主義者という括りでいいのかもしれないのだが、私が感じた彼の絵に対する好意とはそういう論理的な立ち位置のことではない。

単純に彼の“ペイント”が好きだったのだ。

落書き的要素と挑発的、懐疑的な文字の構成。瞬間的効果を最大に引っ張る色彩コントラスト。
不完全な完成という無責任的感性の責任。

ここに私が好きなペイントと呼ぶ作業上の純粋性が存在する。

バスキアの絵画は見ていただければ分かるが、かなり散逸的なアイテムがそれぞれ連関なく描きこまれている。そして色彩も瞬間的な視覚効果を最大限に活かした手法がとられ、その意味でも落書き的要素はかなり詰まっているのだが、これらの画面を一つにまとめるというのは、現実問題誰しもに出来る作業ではあるのだが、これほどまでにセンス高くできるのは彼しかいないという絶対ポイントが存在する。

センスがあるのだ。間違いかもしれないがプリミティブなセンスがある。
これは言葉にすれば簡単だが、実際にはかなり難しい。

例えばお洒落の究極とは、一つ間違えば“田吾作”になってしまうという“キワ”エッジにその高い感性が存在し、その僅かな縁刃的経路をかなりのスピードで走れる才覚が必要なのだが、バスキアのセンスも同様に、一つ間違えば、なんて事のない落書きに成り下がるものが、妙なバランス感覚で保たれているところがスゴイと感じる点なのだ。

私の個人的感想だが、当時日比野克彦がダンボールに書き込んでいたものはバスキアから盗んだものに他ならない。。といよりも、、一番上手に真似、アレンジができた、、の方が正確かもしれない。。

バスキアのこの神業的センスは彼の表現スタイルを集団化できなかった。だから彼だけしかない。。
彼の前にも彼の後にもなにもない彼のみだ・・

そしてこのセンスだが

絵画の技術や知識がない、ある意味原始的な部分から絵画をはじめた場合を考える。これは人間の本能として備わっている絵画を描くという欲求に素直にしたがった場合を仮定するのだが、この場合、どのような方法論がとられるのだろうか?

子供というのがそのサンプルケースとしては一番妥当なような気がするのだが、彼らの絵を考察すると分かるが、アイコンの連発であり、大人のFIX感とはまったく違ったところで完結していく。色も自然界の法則的記号にはまったく従う必要性も感じていない。空が黒だろうが赤だろうが、人間が人間らしかろうがらしくなかろうが、そんなものはまったく関係ない。とにかく
白い画面を自らの情報と与えられた物理的要素(絵の具が6色である、紙の大きさ等)で埋め尽くしてく。そこからなにかを求めることもない。しかし、大人からみればある種の完結をその絵から求めていく。子供の絵は素晴らしい!という固定的記号で結論つけるが、子供たちは自分が描いたものを決して子供の絵とは思っていない。ある欲求をもとに描き出す、そして続ける。
しかし本人が絵の中に終わりを告げる要素はない。止めなさいという号令か、眠くなるなどの肉体的停止か、とにかくまったく結論を必要としていない。これが原始的と呼ぶのかどうかは別にして、ペイント、絵画を描く単純且つ純粋な欲求行為であることは間違いない。

しかし、具体的絵画としては十分その存在は残る。。

本人が意識していなくても、アイコンからメッセージも残る。。

この純粋な絵画を描く欲求行為を大人の視点で制御したり、スイッチを切り替え子供のように解放し完成させたのがある意味バスキアなのでは?と私は思うのである。。ここにポロックのような感性やデ・クーニングのような理知的な部分はない。とにかくアイコンを描きつづけ、気の付いたときに色をつける、そして神が憑依したかの如くに纏め上げる能力は、ペイントというものを単純行為化した中でより高い次元で最後まで完結できた唯一ではないかと思うのである。

ただ描く、自分が描く、主体的に描く。

瞬発的に生れる欲求と完成された理知的な効果との間に存在する回路を猛スピードで行き来し、その間に様々な要素を奇跡的に装飾していくというのが彼の凄みの部分だったと思うのである。



ここに、時代が生んだ、この時代に登場した独特の表現の必然性を若い私は感じたのであった。。




映画の中でインタビューに答えるシーンがあるのだが、実に象徴的であった!

「画面の中にある言葉、文字はどこからきたのか?どういう意味があるのか?」

と尋ねるが

「Jazz奏者(名前を忘れたがマイルスだったかな・・)の音に同じ質問をするか?」

とバスキアは答える、

その感性は今でも十分共感できるものがある。。



…・・


まぁ色々書いたが

当時、カッコよかったのだ。絵も彼も・・

正直、憧れて似たような絵を描いた。。けど、とても描けなかった。。。。

日比野克彦には嫉妬に近いも?いや
確実な嫉妬を感じていた。。

あんなもの!

バスキアの真似じゃねえか!ってな風に。。



彼、バスキアは

そんな20年前の私の





憧れの存在であり


今も大好きな



ぺインターだ!



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投稿者 junca 15:57 | コメント(0) | トラックバック(0) | 人物
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