2005年12月15日(木)

firefire  森の宗教 firefire

  森の宗教� 戦場のメリークリスマス

現在この映画を好きな方々がインターネット等で解説されているから、そちらを見た方が私の稚拙な解説よりも数段優れているのでお薦めする。なかなか良く咀嚼され分かりやすい!


私が感じた一番の感想は、一体何が人間を束縛しているのか?そして何が真実で、人は一体何を目的に思考し行動するのか?そこに人種の違いや国という枠組みの違いが本来存在するのか?それは一体誰がそうしたのか?。生きている内に一体どのくらいの哲学や思想と接し、また生まれてきた新たな考えをどのくらい享受でき、そのなかから人間個人はどのくらい自身の選択として得られろのか?自身の考えと違うものを国家やコミュニティーに押しつけられるのか?はたまた気づかない内に蹂躙、もしくは盲目的な追随をしているのか?

簡単に言うと、現在CMで曲がれているカップヌードルの“ノーボーダー”というテーマに近いと思う。。

南洋にあった日本軍の捕虜収容所施設での出来事で、戦争映画カテゴリーなのだが戦闘シーンが一切ない。捕虜も基本的には英軍が中心なのだが、その他の国、連合国側の人間たちもいるという設定だったと思う。おそらく原作の話の軸はどちらかというと英国人から見た世界を主体としているのだろうが、この映画は日本人監督による微妙なカスタマイズが施され、相対するという視点まで修正されているのだと勝手に解釈している。基本的な軸は文化や教育、そこからくる行動規範と指向性の違いという国家間が普遍的に有する感情軋轢の間を振幅する構成だ。画面は静かに流れるのだが、内面は激しい主体性の葛藤の応酬が垣間見える内容だったと独自の解釈を持っている。表面的な現象のみ追うと、当時の批判的な評論の主流だった、退屈な映画と言うことになるのだろうが、しかし私は決してそんな怠い映画ではないと考えている。。

葛藤の応酬背景として、
一神教の国で自由資本主義国家と当時国家神道(ある意味一神教)、国家社会主義という呪縛に雁字搦めにされていた帝国軍人。象徴的なシーンとしての死生観の違いが表現されていた。なぜおまえらは捕虜になって死をを選ばないんだ?という帝国軍人の疑問と、捕虜の英国軍人のなんで捕虜になると死ななくてはいけないのか?という反駁する疑問。死んだら国家のためにならないではないか?生きていくことこそ軍人としてのロイヤリティー!という英国軍人の哲学に接し、そこから見えるのは自身の持つ文化や教育の違いだけなのだろうか?自身に全くない価値観の出現に怒りとも驚愕ともつかない奇妙な感情に苛まれるのは自然であり、対応が出来ない感情で有ることも間違いない。

人間の尊厳とは、なんの為の戦争か?という根本まで掘り下げていけるテーマに変質していく。。。

多数の考えの存在を受け入れるまでとは言わないが、理解しそこから相手の行動や思考を洞察できれば具体的な“喧嘩”という戦争行為はおこらない。しかし人間は有史以来この点が洋の東西を問わず一切出来ないのである。学問として現在は各種の国家が有する信心や哲学などの研究がなされているが、結局それだけで、究極は自分というコアから発せられる国家という体系には関係ないことなのだ、如何に相手を屈服させるかが、国家利益であり、そのしわ寄せを取り持つ機関もあるようで究極は存在し得ないのが現実ではないだろうか?

以前にも書いたが、イラクで起こった事は、イスラム圏以外の人種にとっては正義の行動なのだが、イスラム側では果たして我々が本当の解放軍なのか?彼らの現在をみると我々の陣営に決死の突貫を仕掛けることが彼らの信じる神に近づける聖なる行為として賞讃されている。そして聖戦と位置づけられている。この軋轢とそこから出るしわ寄せ部分は一体どこが吸収できるのか?おそらく歴史という長い時間をもって保有し続けなくてはいけないのではないか?そしてこれはけっしてフリーズすることなく延々ブスブスと火種を残しくすぶり続ける。。。。

十字軍に対しての謝罪は一体いつ行われた??ガリレオ・ガリレイの名誉回復はいつ行われた?
すべて最近で、ヨハネパウロ二世の時代だ。結局本質的問題が変質し限りなく無味無臭状態のものに対しての行為などは、おとぎ話くらいの実感しかない。

私はこの映画の設定の素晴らしさは、捕虜にしても捕虜を監督する日本人もどちらもが、お互いの国から遠くはなれた環境下に有るという点だと思う。そこには自らが培った或いは養った自分自身だけを持って極限の対立構図に対してバランスを働かすという、極限の心理状態を鮮明に浮き立たせている点だと考える。極端にいえば、南洋の孤島で当事者以外は誰も見ていないのである。国家も国家を支える思想も。。

そういった様々な心理的綻びが映画の随所に鏤められているのだが、結局内面に培ったものに盲目的に付き従うしか無いという状況がたちはだかり、結局静かな対立が生まれていく。。。そして戦争の結果として立場が逆転してしまう。。

20年以上前の映画で、結構普遍的なテーマではあるが、現在見ても合致する世情が充分に存在する。
と言うよりも、この映画が制作された当時の世界情勢は、東西冷戦の緊張感が最大の問題事項であった。今から思うと非常に分かりやすい対立構図であったと思う。しかし現代はどうかというと、イスラムとの対立構図、それをとりまく姿なきテロ集団や国家、新興国の急激な発展に伴う社会規範の不整備と極度の環境汚染等々。と対立軸が入り交じっており、明確なカウンター思考が存在していない。政治的には対立しているが経済において友好であったりと国家観の外交戦略も複雑多岐ににわたっている。しかし、お互いの信じるもしくは権益を守るような応酬が基本として存在しているのは事実であり、そういった外交上の風景は近代ともなんら変わったところはない。しかし前時代に比べ相当複雑多岐で明確な価値観の対立だけが統べてで無いというのが現状だ。こういった現代の状況の方が、実はこの映画のテーマには、本来ピッタリと沿っている様な気がするし、現代の問題の起点になるに相応しいと考える。

ここ最近になってこの映画が投げかけたテーマを解きほぐすのに、ひじょうに役に立った哲学があった。梅原猛の“森の宗教”という哲学だ。


つづく。。
QRCODE
投稿者 junca 23:57 | コメント(0) | トラックバック(0) | think
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